ウォーターサーバーの水を選ぶときに「硬度」という数字が出てきます。硬水と軟水のどちらがいいのか、そもそもウォーターサーバーで硬水は選べるのか。調べはじめると、サイトによって基準の数字まで食い違っていて混乱しがちです。
先に結論を書きます。日本のウォーターサーバーで提供されている天然水は、ほぼすべてが軟水です。硬度で銘柄を選ぼうとしても、実際に選べる幅は思ったより狭いというのが実態です。
この記事では、硬度の基準が食い違って見える理由を整理したうえで、当サイトで扱っている天然水の硬度を実数で並べます。そのうえで、狭いながらも残っている選択の余地をどう使うかまで書きます。
※本記事の情報は、執筆・更新時点のものです。最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
硬度は「カルシウムとマグネシウムの合計量」で決まる
硬度とは、水1リットルに含まれるカルシウムとマグネシウムの量を、炭酸カルシウムの量に換算した数値です。単位はmg/Lで表します。ミネラル全般の量ではなく、この2つの元素だけを見た数字である点がポイントです。
数値が大きいほど「硬い水」、小さいほど「軟らかい水」と呼ばれます。
WHOの区分は4段階
世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインでは、硬度を次の4段階に分けています。
| 区分 | 硬度 |
|---|---|
| 軟水 | 60mg/L未満 |
| 中硬水 | 60〜120mg/L未満 |
| 硬水 | 120〜180mg/L未満 |
| 非常な硬水 | 180mg/L以上 |
「120mg/L以下が軟水」という説明を見かける理由
検索していると、同じWHO基準を引きながら「120mg/L以下が軟水、120mg/L以上が硬水」と2分割で説明しているページに当たることがあります。上の4段階と食い違って見えますが、これは軟水と中硬水をまとめて「軟らかい水」として扱った簡略版です。
さらに日本国内では、0〜100mg/Lを軟水、101〜300mg/Lを中硬水、301mg/L以上を硬水とする区分が使われることもあります。同じ水でも、どの区分を使うかで呼び名が変わります。
つまり「この水は軟水です」という表現だけでは情報が足りません。硬度の実数を確認するのが確実です。本記事では以降、WHOの4段階を基準にして書きます。
ウォーターサーバーの天然水は、ほぼ全部が軟水
ここからが本題です。当サイトで扱っている天然水の硬度を、公式が公表している数値で並べます。
| 水(ブランド) | 硬度 | WHO区分 |
|---|---|---|
| 富士の天然水 さらり(うるのん) | 29mg/L | 軟水 |
| ふじざくら命水 | 31mg/L | 軟水 |
| 京の湧水(ワンウェイウォーター) | 31mg/L | 軟水 |
| 京都丹波(オーケンウォーター) | 31mg/L | 軟水 |
| 大分天領(オーケンウォーター) | 36mg/L | 軟水 |
| 富士山(オーケンウォーター) | 50mg/L | 軟水 |
最も低いもので29mg/L、最も高いもので50mg/L。すべてWHO区分の軟水(60mg/L未満)に収まっています。中硬水にすら届いていません。
硬度で銘柄を絞り込もうとしても、選べるのは29〜50mg/Lという21mg/Lの幅の中だけということになります。水道水や市販のミネラルウォーターまで含めて考えるなら、ウォーターサーバーの水と水道水の違いを種類別に比較した記事もあわせて読むと位置関係がつかめます。
浄水型のサーバーを選んでも硬度は変わらない
水道水を浄水するタイプのウォーターサーバーであれば硬度を調整できるのでは、と考えるかもしれません。ただし一般的な浄水フィルターは硬度を下げません。塩素やにおいの成分を取り除くことが目的で、カルシウムとマグネシウムはそのまま残ります。
つまり浄水型を選んだ場合、硬度はお住まいの地域の水道水の硬度そのままになります。宅配型との違い全般については浄水型と宅配型を4つの軸で比べた記事で整理しています。
なぜ硬水のウォーターサーバーが少ないのか
理由は単純で、日本の水源そのものが軟水寄りだからです。
国土が狭く、水が地層にとどまる時間が短い
硬度は、水が地中を通るあいだにカルシウムやマグネシウムをどれだけ溶かし込んだかで決まります。日本は国土が狭く山地が多いため、雨が地面にしみ込んでから湧き出るまでの距離と時間が短く、ミネラルが溶け出す量が少なくなります。
一方、ヨーロッパの水は広い石灰岩の地層を長い時間かけて通るため、硬度が高くなります。市販のミネラルウォーターで硬度1,000mg/Lを超える商品があるのは、ほとんどが海外産です。
宅配水の採水地は国内に限られる
ウォーターサーバーの天然水は、国内の採水地から定期的に配送する仕組みです。採水地が国内である以上、水の硬度も国内の水源の範囲に収まります。硬水を扱おうとすると海外からの輸送が前提になり、宅配水のコスト構造に合いません。
「硬水のウォーターサーバーがほとんど見つからない」のは、探し方が悪いのではなく、構造的にそうなっているということです。
選べるのは29〜50mg/Lの幅。どう使い分けるか
幅は狭いものの、選択の余地がゼロというわけではありません。硬度が低いほうが向く場面と、気にしなくてよい場面を分けて考えます。
なお、硬度の高低と健康への影響については本記事では判断しません。体質や持病によって適否が変わる話であり、気になる場合は医師や管理栄養士に相談してください。ここで扱うのは、水の使い道と数値の対応だけです。
調乳を想定するなら低いほうを選ぶ
粉ミルクは、それ自体に必要なミネラルが調整されて含まれています。そのため調乳に使う水は、ミネラルの少ない軟水が適しているとされています。今回並べた6つはすべて軟水域ですが、数値だけで見れば29mg/Lが最も低くなります。
ただし調乳では硬度以外に、湯温や衛生面など確認すべき条件が複数あります。赤ちゃんのミルクに使える条件を整理した記事に条件を整理してあるので、そちらもあわせて確認してください。
料理や飲用では、この幅の差はほぼ出ない
炊飯、だし取り、お茶やコーヒーの抽出では軟水が向くとされますが、29mg/Lと50mg/Lの差が味として分かるかというと、そこまで明確ではありません。どちらも軟水域の下のほうに収まっているためです。
料理や飲用が主な用途であれば、硬度を判断軸の中心に置く必要は薄いと考えられます。月額料金、ボトルの方式、サーバーのサイズといった条件のほうが、実際の使い勝手を大きく左右します。この観点はコスパで選ぶときの比較ポイントをまとめた記事にまとめています。
硬度の実数を公表しているかどうかで見る
もう1つの見方として、硬度の数値を公式サイトで明示しているかどうかがあります。成分表は載せていても硬度そのものを書いていないブランドもあり、その場合は成分表からの計算になります。
数値を公表しているブランドは、産地や水質の情報も揃っている傾向があります。硬度そのものより、情報の出し方を選定の材料にするほうが実用的です。
今回の6つから2つ挙げるなら
硬度が最も低いのは、うるのんが扱う「富士の天然水 さらり」の29mg/Lです。静岡県富士宮市の自社工場内の井戸から採水しており、硬度のほかpH値やミネラル成分も公式が数値で公表しています。
申し込みは公式サイトから行えます。うるのん
逆に、今回並べたなかで最も高い50mg/Lは、オーケンウォーターの富士山の天然水です。同じブランド内に大分天領36mg/L、京都丹波31mg/Lもありますが、産地はお届け先から最寄りのものが自動で選ばれる方式のため、硬度を指定して注文することはできません。この点は申し込み前に確認しておくところです。
詳細は「オーケンウォーター」の公式サイトで確認できます。
硬水を飲みたい場合は、ウォーターサーバー以外を検討する
ここまで見てきたとおり、宅配型のウォーターサーバーで硬水を選ぶのは現実的ではありません。当サイトで扱っている範囲に硬水はなく、国内の採水地という前提がある以上、今後大きく変わる可能性も高くありません。
硬度の高い水を日常的に飲みたいのであれば、市販のミネラルウォーターのほうが選択肢は広くなります。海外産であれば硬度300mg/Lを超える商品も一般に流通しています。
ウォーターサーバーの利点は、冷水と温水がすぐ使えること、水を買って運ぶ手間がなくなることです。硬度を基準に導入を検討しているのであれば、期待している効果とサーバーが提供するものがずれている可能性があります。
まとめ
- 硬度はカルシウムとマグネシウムの合計量を換算した数値。WHO区分では60mg/L未満が軟水
- 「120mg/L以下が軟水」という説明は、軟水と中硬水をまとめた簡略版。日本国内の区分もあり、呼び名は基準によって変わる
- 当サイトで扱う天然水は29〜50mg/Lで、すべて軟水。硬水は扱いがない
- 浄水型を選んでも硬度は下がらない。地域の水道水の硬度がそのまま残る
- 硬水が少ないのは日本の水源が軟水寄りで、採水地が国内に限られるため
- 調乳を想定するなら低いほうを選ぶ余地はあるが、料理や飲用では29と50の差はほぼ出ない
- 硬水を飲みたい場合は、ウォーターサーバーではなく市販のミネラルウォーターが現実的
硬度は分かりやすい数字なので選定の基準にしたくなりますが、ウォーターサーバーの範囲では差がつきにくい項目です。料金や使い勝手のほうを先に詰めたほうが、結果的に納得のいく選び方になります。

